ラベル新聞 2015年11月1日号

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開発力と想像力が常識をくつがえす

㈱フナミズ刃型製版(埼玉県朝霞市栄町、☎048・465・2140)が提供するマグネットによる着脱を可能としたゼンマイ刃「エコマグ」にこのほど、新製品が登場。平抜き用の「エコマグフレキシブルダイ」と「エコマグ箔押し版」がラインアップに加わった。すでに供給を開始しており、ユーザー評価も上々ということだ。開発の背景や苦労した点について、木原一裕社長に聞いた。

――まず平抜き用フレキシブルダイから伺います

「当社ではフレキシブルダイの自社製造も行っており、マグネットシリンダー用以外に平抜き用もご提供しています。同じ平抜きでゼンマイ刃のエコマグがあるのなら『フレキシブルダイでできないか』というお客さまの一言が、今回開発のきっかけとなりました」

――取り扱い方について

「チェス盤の上に設置する〝受け台〟として今回、トンボの入った共用のアルミ板を製作しました。そのアルミ板の上にフレキシブルダイをセットしたら、板ごとチェス盤にネオジム磁石で留めてもらう、という形です。アルミ板は少し大きいので、磁石の固定箇所を合計10個設けています」

「エコマグを使わない場合、ベース材の裏へ両面テープを全面に貼ってチェス盤に固定するのが一般的。当社の刃型はベース板にアルミを使用していますが、平滑性の高いアルミへ両面テープを広範囲に貼ってしまうと、剥がすのにものすごく苦労します。この作業を省略できる点、抜きムラの原因となる両面テープが要らなくなる点で、ユーザーからは高い評価をいただいています」

――次に箔押し版用は

「これも『エコマグに箔押し版があれば』という声から生まれたのですが、箔版を貼るには熱が加わらないと貼れないボンディングテープを用い、貼り直すには冷めるのを待つか強引に加熱した版を剥がすかと、これほど大変なものとは知りませんでした」

「また、厚さが1・5㍉しかない銅板をエコマグが押さえることはできません。あるとき箔版会社の方と話をする中で、パッケージ業界では3㍉の銅板に4㍉のアルミ板を付けて7㍉の高さを出すと聞き、そういう構造ならばエコマグ仕様にできそうと閃ひらめきました」

――なるほど

「ところがネオジム磁石は熱に弱く、80℃を越えると減磁してしまいます。調べると、どうやら〝世の中で2番目に磁力が強い〟サマリウムコバルト磁石が熱に強いらしいと判明。取り寄せてこれならいけそうだと思ったのですが、ネオジム磁石と違って大変脆弱で、ネジ穴も開けられないことが分かりました」

――どう克服しましたか

「熱の影響で両面テープもダメ、ネジも無理。ならば接着剤と、耐熱ボンドで持ち手部の金属と接合できました。それでもチェス盤に磁石がパチンと留まった衝撃で割れる始末。そこで磁石を囲う両側の金属をほんの少し長くして直接被着体と触れない設計にしました。こうして磁石をすっかり覆う『ヨーク構造』にした結果、磁束が集中する副次的効果も得られました」

「それでも金属同士だと横ズレに弱い。ネオジム磁石には、上から薄いビニールテープを施して滑りにくくしています。これが箔押し版だと熱で溶けてしまう。そこで目をつけたのが、電子レンジで使うシリコーン製のスチーム調理器。あれ使えないかなと思って薄い素材を探しました。そこから探し当てるまで人の助けを得、多くの協力を経てようやく入手できました。被着体にシリコーンが吸着するので、まったく横ズレしません」

――ようやく完成ですね

「一点、エコマグが持つ本来の特徴や機能、有効性を生かすため、箔版とアルミ板は一体化した形で提供します。なので1回使って終わりという案件ではなく、何度か使用するリピート案件がより相応しいでしょう。それでも現場の苦労を理解する経営者は、それが解決して効率的な仕事ができるなら3、4000円のコストアップも安いものだと判断くださいます」

――最後に総括を

「いずれもお客さまからの『こんなのあったらいいな』から生まれました。どうすればそれを実現できるのか、いつも楽しみながらものづくりに臨んでいます。細部まで考えて作られた新作の使い勝手を、ぜひ感じていただければ。エコマグは、これからもまだまだ進化します」