印刷新報 2022年6月23日号

印刷新報6月23日

シール・ラベル用サービスに特化

 フナミズ刃型製版(木原一裕社長、本社・埼玉県朝霞市、従業員数44名)は、シール・ラベル印刷会社のパートナーとして抜き型作製と製版に特化したサービスを提供している。
 抜き型では、ゼンマイ刃、フレキシブルダイに加え、2021年10月からビク型(トムソン型)の作製を板橋工場(東京都板橋区)で開始し、ハーフカットでの打ち抜き加工のしやすさを追求。製版では、樹脂凸版、亜鉛凸版のほか、CTPフレキソ版に対応する。
 1980年にゼンマイ刃メーカーとして創業して以来、同社は顧客が抱える課題に常に寄り添い開発・改良を重ね、高い支持を受けてきた。
 それを象徴するのが刃型の固定に使われる同社独自開発の「エコマグ®・エコマグα」だ。2012年に特許を取得した「エコマグ®」は、それまで刃型を両面テープで固定したものを超強力な「ネオジム磁石」を使うことでセット作業を非常にスムースにし、両面テープが原因のムラの発生もなくした。取り外しにもヘラ等を使用することがなく、刃型や機械を傷める心配もない・
 さらに、「以前から使用している刃型にも対応してほしい」という顧客の声に応え、同社製の刃型以外にもすべて対応した「エコマグα」を開発し、喜ばれている。
 そのほか、特殊な刃型の作製、オンデマンドプリンタによる最少1枚からのシール・ラベル印刷およびラミネート・カッティング、印刷用副資材の供給など、幅広いサービスで顧客の利便性を高めている。取引先からの紹介で新規案件の相談を受けることも多い。
 今年3月には日本印刷産業連合会のグリーンプリンティング(GP)工場認定を朝霞工場が取得するなど、環境対応やSDGsへの意識も高い。ムダを出さないものづくりや作業効率を追求する経営姿勢が、時流を捉えている。

トンボ作成が瞬時に完了 ソフトをサブスク提供

フナミズ刃型製版は、トンボ作成スクリプトソフト「カスタムトンボスクリプト」をサブスクリプションで提供しており、シール・ラベルの製版を内製化している印刷会社からの引合いが増えている。
 シール・ラベル印刷版にはトンボ(トリムマーク)のほか、アイマークやマクラ、版の種類や版の縮小率など、さまざまな情報を入れることが多い。それらを一点一点手作業でデータ入力すると、多くの手間と時間がかかり、見当合せの正確性も欠いてしまう。
 同社が開発した「カスタムトンボスクリプト」は、複雑な印刷用トンボを瞬時に呼び出すことができるソフトウェア。現在使用しているトンボを事前に登録しておけば、難しい手間や工程は一切必要なく、マウス操作だけで作成中のデータに合わせたサイズでトンボを簡単に付けられる。
 また、あらかじめテンプレートのトンボにコードを入力しておくことで、日付やファイル名を表示させることができ、リピート時にデータを探す手間を大幅に短縮できる。
 登録できるトンボの数に制限はない。所有しているシール・ラベル機や印刷色数ごとにそれぞれトンボを登録しておき、状況に応じてトンボを使い分けることができる。導入ユーザーが安心して始められるよう、購入時には現在使用しているトンボを最大5種類まで同社が代わりに登録を行うサービスもある。
 新たにトンボを登録する際も、使い慣れたイラストレーターの操作のみで簡単に登録が行える。色ごとにトンボの長さを変えておけば、見当合せにも役立つ。
 「カスタムトンボスクリプト」は、もともと自社のDTP作業の効率を上げるために開発したものだったが、シール・ラベル印刷会社からの要望が多かったため、外部販売を決めた。
 当初は買い切りタイプとして販売したが、それではイラストレーターのバージョンが上がるたびに購入し直す必要があり、高額になってしまう。そこで同社は、2020年にサブスクリプション版の提供を開始し、低価格で導入しやすくした。イラストレーターの最新バージョンにも対応し、バージョンアップ時にも追加費用は発生しない。
 同社では無償で使用できるデモ版(1ヵ月限定)も用意しており、まずは使ってみてから判断したいという要望に応えている。
 木原社長は「社内でのDTP作業でも、私が3分でできるところを新人が10分かかるなど、課題を感じていた。トンボの付け間違いなども起こりやすく、ソフトウェアでの解決を目指した。今はわずか数秒で誰でもトンボを付けられる。便利さを理解していただいたお客様は、大きな作業効率化のメリットを受けていらっしゃる」と話す。