ラベル新聞 6月15日号

フナミズ刃型製版 社内コンペの抜き技術を提案 ゼンマイ刃と腐食刃活用で考案

㈱フナミズ刃型製版(埼玉県朝霞市栄町、木原一裕社長、℡048・465・2140)は現在、ゼンマイ刃と腐食刃を活用する年賀状やDM向けシールを提案している。
同シールはフナミズ刃型製版が2007年から行い、毎年の恒例となった社内コンペによるもの。
刃型のほかレタープレス向けの「フレキソ版」など同社の提供資材に加えて、所有するレーザープリンタの技術や基材の特徴をとらえた作品が、全従業員を対象に応募し集まっている。

2023年版のコンペでは、製版部の田邊真希氏が最優秀賞を獲得。
受賞理由は、同社製品のフレキシブルダイ、ゼンマイ刃をうまく活用したシールの仕掛けがとてもユニークであることだ。
シール表面には十二支を描き、それらをハーフカット、最終的にハガキ小サイズにシートカットしたファンシーシールのような仕様になっている。
このシートを年賀はがきに貼って郵送するのだが、剥離紙全てを剥がしてしまってはハーフカットした十二支も年賀はがきにくっついてしまい使用することができない。
そこで、ハガキ小サイズのさらに4㍉内側に四角く裏スリットを入れ、裏スリットを入れた外側だけ剥離紙を剥がすと4㍉幅の粘着面が顔を出す。
その粘着だけで年賀はがきへ貼り付けるようにした。
シートの大部分に剥離紙が残っているので、年賀はがきに貼り付けた後でもハーフカットされた十二支のシールを剥がして使えるといった工夫が施されている。

粘着面の幅については、狭すぎて年賀状から剥がれてしまわないよう同社デジタル印刷機とカッティングプロッタを用いて検証。
その後、㈱フォーワテック・ジャパンの協力を得て量産し、全国の取引先や業界人などの手に渡った。

シールのデザインについて、田邊氏は「もともと22年開催の展示会『IGAS』で、三條機械製作所さまから印刷サンプルのデザイン依頼を受けたことがきっかけ。
当時は表面からハーフカットを施すのみだったが、抜き加工の技術を最大限発揮すれば、年賀状に貼った後もキャラクターシールとして使える楽しいアイテムになるのではと思った。
当社の年賀状で業界人の皆さまの手に届き、いい反響もうかがえたので、少しでも抜き加工を行う際のヒントとしていただけたのであれば」と述べる。

また「日ごろはDTP製版の仕事が主で、お客さまから入稿いただいたデータを基に、よりきれいな仕上がりを目指している。
いちからデザインを考案する仕事はまだ少ないですが、デザインすることが大好きなので、社内コンペを通じてその機会を得るのはモチベーションの向上にもつながった。
今後の仕事に生かしたい」(同)とコメントしている。

年賀状シールの詳細は同社専用ページ(https://www.hagata.co.jp/2023/01/25/chara/)まで。