使い始めはムラがないゼンマイ刃でも、ショット数を重ねたり、抜き圧を強くしたりすると、次第に抜きムラが発生してしまうことがあります。
また、高寿命刃材(DLCなど)を使用して、数万ショット抜いても刃の切れ味自体は保たれているのに、抜きムラが出てしまう。そんなお困りごとはございませんか?
もしかするとその原因は、刃材が押し込まれて裏板に凹みができていることかもしれません。
今回ご紹介するゼンマイ刃の新しい裏板「鋼板サンド」で、そのお悩みが解決できるかもしれません!!
裏板に硬く耐久性の高い鋼板を挟むことで、長期使用時や強い抜き圧をかける全抜き加工でも、抜きムラの少なさを長く維持することができます。

鋼板サンドとは!?
「鋼板サンド」は、弊社標準仕様(アルミ裏板)をベースに、アルミ板に鋼板を貼り合わせた二層構造の裏板です。
鋼板の厚み分、薄いアルミ板を使用しているため、従来どおり刃高8mmまたは9mmでの製作が可能です。
刃の背面に鋼板を配置することで、強い抜き圧をかけたり、ショット数を重ねた場合でも裏板が変形しにくく、長期使用時でも刃高ムラが発生しにくいことが最大の特徴です。
その他のメリットとして、鉄板など錆が発生しやすい裏板では、裏面の錆が抜きムラの原因になることがありますが、鋼板サンドは裏面がアルミ板のため、その心配がありません。
また、使用している素材が薄い鋼板とアルミ板のため、鉄板やステンレス板のみを使用した場合に比べて刃型が軽量です。

おすすめの使用場面
•全抜き加工を行うなど、抜き圧を強くかける場合
•DLCコーティングのような高耐久刃材を使用するなど、ショット数が多い型
開発ストーリー
開発の経緯は、全抜きで刃型を使用するお客様からの相談がきっかけでした。
抜き圧が強い全抜き加工を行う際、従来のアルミ裏板では柔らかく、刃が裏板に沈み込んでしまい、結果として刃高ムラが発生してしまうという課題がありました。
そこで「裏板に硬い鋼の板を重ね合わせることで解決できないか?」と考え、検証を実施しました。
プレス機に四角形状の刃材とアルミ板単体/アルミ+ステンレス板/アルミ+鋼板 の3パターンの裏板をセットし、強く圧をかけて比較したところ・・・



という結果になりました。
さらに、お客様から返却された刃型をいくつか分解して裏板を確認したところ、型によってはほとんど凹みが見られないものもありましたが、中には深い凹みが確認できるものもありました。
また、その凹み方も均一ではなく、部分的に深く凹んでいるものもあり、このような凹みがあると、抜きムラが発生する原因になると考えられます。
貼り合わせ後の精度も問題なし
「鋼板サンド」は、鋼板とアルミ板を貼り合わせて構成していますが、念のため貼り合わせ後の板厚を測定したところ、1μm台の誤差はあるものの、抜きムラに影響するレベルではないことが確認できました。

価格・仕様について
標準仕様(裏板アルミ)はこれまで通り継続します。
鋼板サンド仕様は追加オプションとなり、+500円〜の追加料金がかかります。(刃型のサイズにより変動します。)
「鋼板サンド」は、強い抜き圧や長期使用時でも裏板が変形しにくく、抜きムラの少ない安定した品質を長く維持できる構造です。
高寿命刃材(DLCなど)との相性も良くおすすめです。
ゼンマイ刃の「鋼板サンド」にご興味がある方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。
お客様のより良い印刷ライフの一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

木原 優/Yu Kihara
フナミズ刃型製版の営業担当
本ブログは「シール印刷にまつわるお役立ち記事」をテーマに運営