「擬似アミ」と「アミ」が組み合わさるとどうなる?モアレ対策をご紹介

先日、仕事の一環で少し珍しく、おもしろいデザインに出会いました。

このデザインを樹脂凸版によるシール印刷で綺麗に印刷するには、どうしたらよいのか。
社内で方法を検討しました。

シール印刷の製版において、勉強になる興味深い内容だと思いましたので、今回のブログでは、この事例について皆さまに共有させていただきたいと思います。

「擬似アミ」と「アミ」が組み合わさったデザイン

画面上で見ると、一見、何の変哲もない1色のデザインに見えますが、擬似アミ(ドットが規則正しく並んだデザイン)と、20%のアミが同じ色で組み合わされています。

では、このデザインを133線・アミの角度45度で製版し、印刷するとどうなるでしょうか 。

●133線 45度にて出力した際のイメージ 

見事にモアレが発生してしまいました。

※モアレとは、規則正しく並んだ模様同士が重なることで発生する縞模様や濃淡のことです。印刷では「アミ」と「アミ」がが重なった際に発生することがあります。
語源はフランス語の「moiré」で、「杢目模様」や「水模様」を表す言葉に由来するといわれています。

そこで、このモアレを製版の工夫によって回避できないかと考え、いくつかのパターンで検証してみました。 

提案その① アミの角度を調整

今回モアレが発生した理由は、「擬似アミ」と「アミ」の角度がどちらも45度だったためです。

「擬似アミ」と「アミ」の角度に差を設けることで、モアレの発生を回避することができます。
また、30度または15度の差をつけるのが効果的です。  

●133線 75度(30度の角度差) 

●133線 30度(15度の角度差) 

●133線 0度(45度の角度差)

 133線・75度(30度の角度差)と133線・30度(15度の角度差)は、モアレが抑えられましたが、133線・0度(45度の角度差)はモアレが発生しているように見えます。

また133線・75度(30度の角度差)と133線・30度(15度の角度差)もモアレによる濃淡は抑えられましたが、「擬似アミ」と「アミ」が混ざってしまい、どこが「擬似アミ」のドットなのか判別しづらくなっています。

そこで、「擬似アミ」をより際立たせるには、「アミ」をもっと細かくすればよいのではないかと考えました。
次は、「アミ」の線数を高くして検証してみます。

ちなみに弊社でカラー印刷の製版を行う場合は、通常、C(シアン)15度・M(マゼンタ)45度・Y(イエロー)0度・K(ブラック)75度で設定しています。
4色印刷では、すべてのアミの角度を30度ずつずらすことができないため、モアレをできるだけ抑えられるよう、この角度の組み合わせを採用しています。
M(マゼンタ)45度とY(イエロー)0度の組み合わせは多少モアレが発生してしまいますが、Y(イエロー)は薄い色のため比較的モアレが目立ちにくいです。

提案その② アミの線数を調整

線数を133線から175線に上げてみます。

●175線 75度(30度の角度差) 

133線の時と比べると、「擬似アミ」が認識しやすくなったように思います!

しかし、実はもっとおすすめの方法があるんです!
次の段落にてご紹介します。

ちなみに「アミ」の角度が45度だと、線数を高くしたところでモアレが発生してしまいます。

●175線 45度(角度差なし) 

提案その③ FMスクリーンを使用する

AMスクリーンはドットの大きさで濃淡を表現する仕組みですが、FMスクリーンは一定の面積の中で不規則に配置された極小ドットの密度で濃淡を表現する方法です。
FMスクリーンについて詳しくはこちらの記事で。

FMスクリーンにて製版して印刷したイメージがこちらです。

FMスクリーンでは、ドットが規則的に並ばないため、規則正しい「擬似アミ」と干渉しにくく、モアレが発生しにくいうえ、ドットが細かいため、175線・75度のAMスクリーンよりも「擬似アミ」が認識しやすくなっています。

モアレを動画で見てみる

同じ線数のC(シアン)とM(マゼンタ)の「アミ」を重ね、C(シアン)だけを回転させてみると、角度によってモアレが発生したり、発生しなかったりする様子がご覧いただけます。

こちらは、線数の異なるM(マゼンタ)の「アミ」を重ね、片方だけを回転させた動画です。
こちらも同様に、角度によってモアレが発生したり、発生しなかったりする様子がご覧いただけます。

まとめ

今回のブログでは、「擬似アミ」と「アミ」が組み合わさったデザインをもとに、モアレを回避するための方法についてご紹介しました。

ご紹介した事例はあまり見ないケースだったかもしれませんが、デザインによっては、AMスクリーン(通常のアミ点)でも線数や角度を調整することで、また、FMスクリーンを適切に使い分けることで、より意図したデザインに近い印刷品質を実現できます。

これからも、皆さまのお役に立てるような、勉強になる・ためになる内容を意識してブログ記事を更新してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

木原 優/Yu Kihara
フナミズ刃型製版の営業担当
本ブログは「シール印刷にまつわるお役立ち記事」をテーマに運営