印刷新報 2021年6月20日号

フナミズ刃型製版(木原一裕社長、埼玉県朝霞市)は、1980年にゼンマイ刃メーカーとして創業して以来、顧客の利便性を追求し、さまざまなサービスを展開している。
製版(樹脂版・亜鉛版)と刃型(ゼンマイ刃・フレキシブルダイ)、オンデマンドシールを自社生産にて一括提供し、版下作成にまでおよぶ。
同社の提供する主なサービスを紹介する

製版

シールの印刷方式で最も用いられる凸版印刷用の製版に特化し、樹脂版と亜鉛版を作成している。
凸版印刷の特性を熟知した上でのデータ加工を得意としており、同社の版を使用した印刷の綺麗さはシール業界でも評価が高い。
また、顧客ごとに専任のDTPオペレーターを配置し、データ加工の内容を作業者本人と打ち合わせて進行できるのも同社の特徴といえる。
樹脂版はフィルム製版と、CTP製版に対応。亜鉛版は厚み1mm、1.5mm、3mmをラインナップし、印刷用の他、箔押し、エンボス加工用にも対応。
その他、シール印刷特有の複雑なトンボを一瞬で付与できる「カスタムトンボスクリプト 」というソフトウェアをサブスクリプションで販売し、製版を内製化している印刷会社の支援もしている。

ゼンマイ刃

シールの抜き加工はセパレーターは抜かずに上紙だけを抜くハーフカットという加工があるため、刃型には高い刃高精度が求められる。同社の刃型には、熟練の職人が高い精度で刃物の曲げ加工する他、刃物を抑える役割の裏板にアルミを採用することで刃高ムラを大きく抑制している。
かど角のゼンマイ刃は刃物にスリットと呼ばれる溝を入れてから曲げ加工をするので、角の繋がった状態で角の刃型を作成でき、刃のつなぎ目を溶接することで、つなぎ目が開いたり、ズレたりするのを防ぐ。
常備する刃材も豊富で、糊や基材の種類に応じて適切な刃材を提案することで、苦労することの多い抜き加工を支援する。
■平圧機用(裏板付き)
刃高:8㎜・9㎜
表板:アクリル4㎜
裏板:アルミ2㎜・ 3㎜
■平圧機用(貫通タイプ)
刃高:8㎜
特製合板6㎜(ポリエステルシート+ベニヤ)
■輪転機平抜ユニット用(貫通タイプ)
刃高:12㎜
特製合板10㎜(ポリエステルシート+ベニヤ)

フレキシブルダイ

エッチング後に刃先を研磨仕上げしているのでPET・ネーマー・ユポなども抜くことができ、一つの刃型で全抜き・半抜きなど、刃高を変えることも可能。
また、高精度でつなぎ目もなく、平圧用のムラ取り時間が短縮される。
ゼンマイ刃では不可能な変形や公差の厳しい加工にも対応し、0・2㎜の微細加工も実現する。
マグネットシリンダーで使用されることが多いが、ゼンマイ刃と同様に平抜きでの使用も可能。

エコマグ®・エコマグα

2012年に特許を取得した自社開発の刃型固定システム。両面テープではなく、強力な永久磁石「ネオジム磁石」を使用して刃型を固定するため刃型のセットが簡単にできる。さらに磁石の周囲底面には特性のすべり止めテープを貼ることで横滑り耐性を強化した。
「エコマグ®」は同社で制作した刃型にしか使えなかったが、「以前から使用している刃型に対応してほしい」との顧客の要望に応え、「エコマグα」ではすべての刃型に対応できるように改良された。
エコマグ®には、「裏板アルミ用」、「フレキシブルダイ用」、「ベニヤ(貫通タイプ)用」がある。エコマグαは、「ゼンマイ刃用」と「ビク刃用」の2種類。

オンデマンド印刷

最小1枚からシール・ラベル印刷が可能。シールを使用する場所、目的を相談しながら作成できる。
一般的なシール印刷機では難しいA3サイズや900㎜×300㎜の長尺の印刷も可能。
デジタルプリンタはカラーレーザー、溶剤インクジェット、UVインクジェットの3機種を用意。基材や用途によって使い分ける。
印刷後のラミネート加工、箔押し(レーザープリンタのみ)、全抜き、半抜き、裏スリットにも対応する。