ゼンマイ刃の変形を抑制 抜き圧逃す、新構造を考案 フナミズ刃型製版
シール・ラベルの刃型と製版を手掛けるフナミズ刃型製版(埼玉県朝霞市、℡048・465・2140)は、ゼンマイ刃の変形を防ぐ、新たな刃型用スポンジ「あなあき~」(特許申請中)を開発した。先ごろ開催されたラベルフォーラムジャパン2024で初披露したところ、多くのラベル専業メーカーから熱視線が送られた。抜き精度の安定性と製造効率の向上に役立つとして、高い評価が寄せられている。
あなあき~の特徴は、従来の刃型用スポンジに微細な穴を設けた点だ。この構造により、抜き圧が微細な穴を通して分散され、ゼンマイ刃への過剰な負荷を軽減。結果として、刃の変形を抑制し、安定した加工精度を実現する仕組みとなっている。
同社ではこれまで、ゼンマイ刃の変形を防ぐ方法として、スポンジの貼付位置の調整による対策を提案してきた。しかし、まれに寄せられる「刃の変形」に関する相談を受け、さらなる改善策を模索する中、あなあき~の構造を考案。穴のサイズや配列など細部にこだわりながら、アイデアを形にできる加工会社を探し、約3カ月の開発期間を経て製品化に成功した。
同製品に関するメールマガジンを配信した直後から、採用への問い合わせが寄せられるなど、シール・ラベル業界が長年抱えてきた課題解決の一助として期待されている。
同社では、シール・ラベル印刷に必要な副資材の販売も行っており、ラベルフォーラムジャパン2024では、印圧の安定性を向上させる「きむろんもどき」も発表した。キムロンの代替品となるアイテムで、優れた弾力性を有した点が特徴。凸版平圧印刷機での使用を推奨しており、印圧のムラを抑え、ベタ印刷や白抜き印刷を美しく仕上げるほか、高品質な箔押し加工にも寄与する。 シール・ラベル印刷各社では、2016年のキムロンの製造停止以降、在庫処理やスポンジなどを活用しながら印刷加工に取り組んでいた。そんな中、同社では独自ルートで、従来のキムロンに迫る素材を調達。すでにきむろんもどきを採用したラベル専業メーカーからも、高評価が寄せられており、「引き続き、業界のニーズを捉えたソリューション提供に力を注ぐ」(同社・木原一裕代表取締役)と語る。