先日、全日本シール印刷協同組合連合会様のホームページにて、「第36回シール・ラベルコンテスト2026」の情報が公開されました。
毎年恒例となりますが、弊社ではコンテストに合わせた製版・刃型を特別価格にてご提供しております。
コンテスト課題では、通常業務以上に高精度な見当合わせや印刷再現性が求められます。
本記事では、平圧規定課題と輪転・間欠輪転規定課題について、 製版の観点から着目したポイントと実際の調整内容をご紹介いたします。

平圧規定課題

ポイント
①精密な見当合わせ
②マージナルを発生させないための印圧調整
製版での提案内容
●トラッピング処理
ポイント①の精密な見当合わせに対し、製版側で対応できる内容のひとつが「トラッピング処理」です。
トラッピング処理について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
色の濃さやデザインによっても異なりますが、通常は薄い色を0.08mm程度、濃い色へ食い込ませることで、わずかな見当ズレが発生しても白抜けが目立たないよう調整しています。
通常業務では、版ズレした際に異なる色版同士の境界に隙間がでないようトラッピング量を設定します。
それはコンテスト用の印刷でも同じなのですが、仕上がりの美しさを最大限にするため、色の重なりが極力目立たないよう、通常の半分程度、またはそれ以下の幅でのトラッピング処理をご提案します。
●上部2箇所のデザインについて

上部2箇所のデザインには、Illustratorの「ブレンド」という機能が使用されています。
※グラデーションが色をなめらかにつなぐように、ブレンドは図形や線をなめらかにつないで途中の形を自動で作る機能です。
データを確認すると「ブレンド」が使われていることは確認できますが、「ブレンド」があってもなくてもIllustratorの画面上での見た目は変わりありません。
製版環境によって差はあるかもしれませんが、弊社ではEsko社製のRIPを使用しており、「分割・拡張」を行わずに出力した場合、形状が若干崩れる現象が確認できました。
例えるなら、画像解像度が低下したようなガタつきが発生する状態です。
そのため、今回は「ブレンド」を「分割・拡張」してから出力することが必須と考えています。
弊社では通常の製版業務においても、すべてのデータを確認し、不具合の有無をチェックしたうえで作業を進行しております。
輪転・間欠輪転規定課題

ポイント
① 精密な見当合わせ
特に「緑の葉」と「紺色の背景」の見当ズレが目立ちやすいと考えられます。
② グラデーション部分の再現
印圧を適切に調整し、マージナルが発生しないようにすることが重要です。
③ 白版の刷り順
今回のデザインでは、白の上に重なる色がないため、白版の刷り順に自由度があります。
通常は白の上に色を重ねるデザインが多いため、白印刷を先に行うケースが一般的ですが、今回は比較的自由に検討できます。
トラッピング処理の方法や見当精度にもよりますが、適切なトラッピング処理をした上で白を最後に刷ることで、見当ズレが発生した場合でも、白と隣り合った色の境界が目立ちにくくなる可能性があると考えています。
製版での提案内容
●トラッピング処理
平圧規定課題と同様に、通常業務よりも控えめなトラッピング処理をご提案します。
●グラデーションの調整
背景の紺色と緑色のグラデーションについては、データ上および見本上でも中心部分の紺色がほとんどつながっているため、グラデーションの切れ目が目立たないように、紺色を1%つなげる処理をご提案します。
緑色については、切れる位置が濃い紺色部分に重なるため、そのままでも問題ないと考えています。
孔雀の中のグラデーションについては、元データでは紺色はつながっていて、紫色と緑色は切れていますが、羽模様によって細かく区切られているため、データどうりでも切れ目が目立ちにくいと考えています。
●白印刷とアイマーク

今回は材料が銀ツヤホイルのため、光の反射によるアイマーク(センサーマーク)の読み取り精度への影響が考えられます。
抜き加工の見当精度を高めるためには、アイマーク周辺に白印刷をすることで、センサーによる読み取りをより安定させることができます。
アイマークの作り方については、「ノセ」と「毛抜き合わせ」のどちらでも問題ないと考えています。
※毛抜き合わせの場合は、白色を紺色側へわずかに食い込ませるトラッピング処理を行い、見当ズレによる隙間が発生しないよう調整します。

先日、三條機械製作所様にてテスト印刷を実施した際には、「① アイマーク ノセ」の設定で製版を行いました。
その結果、白印刷を最初に行った場合と最後に行った場合のいずれにおいても、アイマークの読み取りおよび抜き加工に問題はありませんでした。
※今回は紺色が十分に濃いため、上から白を印刷した場合でもアイマークを問題なく読み取ることができました。
ただし、薄い色と白の組み合わせの場合は、同様に読み取れるかどうかは未確認です。

●トーンカーブの調整
コンテスト用の印刷では、通常以上に印圧を抑えて印刷されることが多いと思われます。
それでもアミ点が濃く再現される場合には、トーンカーブを調整し、アミが若干薄くなるよう製版することも可能です。
ドットゲイン(マージナル)について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
製版データ作成から出力用データ入稿まで対応いたします
今回ご紹介した内容は、シール・ラベルコンテスト向けに限らず、弊社が日常業務で行っている製版サービスの一例です。
また、自社製版を行っているお客様向けに、製版データ作成のみのご依頼も承っております。
・カラー印刷向けのデータ調整が難しい
・色調整業務に対応できない
・オペレーター不在時に製版データを作成できる人員がいない
このようなお悩みがございましたら、ぜひご相談ください。
また、データ作成は社内で対応できるものの、製版設備の故障などに備えたBCP対策としても弊社サービスをご活用いただけます。
出力用データでご入稿いただければ、弊社側でのデータ調整作業が不要となるため、通常の製版料金よりもお求めやすい価格でご提供しております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

木原 優/Yu Kihara
フナミズ刃型製版の営業担当
本ブログは「シール印刷にまつわるお役立ち記事」をテーマに運営