自分たちが今できることを、自分たちのものづくりで 新型コロナに負けない!業界団体発「声明と行動」

STAYHOME、印刷で訴え「協働」
②支援プロジェクト総括

公社)東京グラフィックサービス工業会FACE(稲満信祐会長)と東京都正札シール印刷協同組合青年部(齋藤和則部長)は「STAYHOME支援プロジェクト」と銘打ち、新型コロナウイルスの感染拡大防止を訴えるポスターとステッカーを無料配布する共同事業を実施した(前号既報)。自らが日々携わるものづくりで社会に連帯を訴えた真意とは。事業を〝首謀〞した両団体のフィクサーに聞いた。

東グラFACE

実感した「強さと意志」
稲満信祐会長
 日頃より当社のリソース(社員の能力)をどのように社会貢献へつなげていくか、ということを常に模索しています。特に、情報発信力のある漫画でCSR活動やコーポレートガバナンス、ディシプリン(社内規範)や災害マニュアルなどを企業向けに提案していくことを考えております。
 今回の新型コロナ問題にあたり、まずは自分たちですぐにできる活動をしていこう、との判断でポスターによる啓発にたどり着きました。社内でその打ち合わせをした翌日、たまたま正札青年部さんから当会にポスター啓発の提案があり、内容も含めて一緒に進めていくこととなりました。
 新型コロナ関連の政府発信の注意喚起は字数が多く、気持ちが沈んでしまう内容が多い。またインフルエンザの内容を流用したような側面もありました。
 こうした暗いイメージと混乱の払拭を狙ってデザインは〝基本の3点〞に絞りました。明るく元気に皆で前に向かってがんばっていこう、と言うメッセージを伝えるには、SNSやメール配信ではなくポスターが最適と判断しました。
 まず当社内でA3出力しパウチしたものを、全フロアに合計24枚貼りました。社員(特に女子社員)から「見やすく明るいイメージで元気が出る」「可愛くて癒される」といった声がありました。出入りする事業者さんからも「これどうしたんですか」「誰の作品ですか」と問い合わせも数件あるなど、思った以上に反響がありました。

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 ゼロベースからスタートして、10日後には配布を開始できたという超スピード対応に、印刷関連業界青年会のネットワークの強さと、新型コロナ撲滅に対する強い意志を感じました。
 どんな問題が起こったとしても下を向くのではなく、明るく元気に前向きに物事にあたれば、物事はよい方向に進んでいく。これが私の基本的な経営者としてのスタンスです。皆で前を向き、できることをしっかりやっていきましょう!

イラストを担当した後藤裕太氏コメント
 日々新型コロナのニュースが続く中、鬱になる人やDVの問題など、コロナ事態の影響とは別の殺伐とした状況も報じられています。そうした中で、なるだけ明るく楽しくコロナ対策をしてほしいと思い、少しでも癒されるようなポップでかわいいデザインのポスターとシールにしました。

正札青年部

シールに今できること
鈴木健二元部長
 きっかけは、正札青年部員の「従業員の間でも認識の度合いが異なるので啓発ポスターが欲しい」との要望でした。そこで、行動力に定評のある東グラの稲満会長に相談しました。
 聞けばすでにポスター製作に着手しているとの話。ポスターのメッセージ性の強さに加え、素敵なタッチのイラストを見て〝これは万人に受ける〞と直感して、デザインを使わせてもらえないかと直訴しました。
 ポスターの一部を切り出して貸してくれるのかな、と思っていたら、同じデザイナーさんが別のイラストを新たに描き下ろしてくれました。「ステイホーム」なので家があってそこに人が居て…と何となく連想しましたが、まさか三匹の子豚を持ってくるとは。やられたな、との思いと共にバトンを受け取りました。

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 印刷に臨むに際して、以前JS(全日本シール印刷青年部協議会)で熊本地震の義援ステッカーを製作した際に力を借りた、フナミズ刃型製版の木原社長に相談。趣旨に賛同いただき、版と刃型を無償で提供くださいました。続いて基材ですが、前に東京タックの大滝社長からじきじきにのり残りのない自己吸着フィルム「KSノン」のプレゼンを受けた縁もあり、実際いつか使ってみたいと思っていたことから相談させていただいた形です。
 印刷では、抜き工程で当初の想定よりかなり苦戦しました。小型間欠機はウェブのテンションが強く、全抜きに必要な抜き圧をかけと破断してしまう。また基材幅に対してステッカーのサイズが大きくて余幅がなく、平圧機での全抜きも安定性を欠きました。
 よほど途中で天地で断裁し〝大きなシール〞に仕様変更しようかとも思いました。しかし、ステッカーは全抜き仕上げでないと格好悪い。これだけいいデザイン、基材、版を皆に協力してもらっておいて妥協はできない、と思い直しました。
 初めて使用したKSノンは割と剥離紙がしっかりしていて、結局ラベルを持ち帰ることに。続きは子供たちにムシリを手伝ってもらい、ようやく1日がかりで4000枚完成しました。

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 データを受け取り、10日後には葛飾区をはじめ信用金庫、各企業に配布を開始するといったスピード勝負で挑みました。私が言い出しっぺなので残しては皆に申し訳ないとの使命感もあり、断られても次、と動き回りステイホーム支援を続けています。いざ自分でやってみると、贈呈用に箱を用意したらよかったかな、などの気づきもありました。本来一番配りたい小中学校が休校中なのが悔やまれますが、おかげで評判もよく後日4500枚追加印刷しました。
 外出自粛中の子供たちに向けて有名人が「うちで○○」と動画を公開する中、塗り絵を無料で配布する印刷の仲間の存在を知り、自分たちも何かできないか・シールに何かできるだろうとずっと考えていました。緊急事態宣言が発出したこの状況下、少しでも多くの方に元気を与えたい、喜んでもらいたい。つくり手の願いはそれだけです。

協賛企業

蓄えて、好機へ
東京タック(株)
大滝亮社長

 この度の非常事態宣言下におきましては、経営計画の遅延を余儀なくされていることに対し、経営者として、とてももどかしさを感じています。
 当プロジェクトはスズパックの鈴木社長よりお声がけいただき、当社オリジナルの「自己吸着シートKSノンW」を採用いただきました。これを機に、特徴である「貼って剥がせる手軽さ」をより多くの方にご認識いただければうれしく思います。今回のプロジェクトを通じて、ステッカーが手軽でありながら、とても重要な役割を果たすことを再認識いたしました。
この先も暫くは新型コロナウイルスと共存していくことになりますので、まずは社員とその家族の生命・健康維持を最優先していきます。そして少し視点を変え、今回のプロジェクトのように何か得られることを蓄えていき、好機を待ちたいと思います。


貢献に誇りを
(株)フナミズ刃型製版
木原一裕社長

 新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
 われわれ製造業はどうしても出勤しないと仕事になりません。当社の製品(製版、刃型等)は食品や医療品などの生活必需品のラベルに使われることも多く、社会的責任を考えると簡単に休業できません。それでも時短勤務や時差出勤にシフトし、自身も在宅勤務へ。そんな時に鈴木社長からプロジェクトのお話をいただき、喜んで協賛しました。
 剥離紙への裏面印刷も施すため、インキの転移性を考慮してレタープレス専用のフレキソ版を選択。想像以上にきれいに印刷されていて嬉しく思います。でき上がったステッカーを全従業員に配ったところ、皆喜んでくれ、会社としても微力ながら社会に貢献できたことを誇りに思ってもらえると嬉しいです。後日、さらに4500枚の追加印刷が決まるなど、自社でもより多くの方に配りたいと思っております。
 収束後は、このプロジェクトのメンバーと慰労会をやるのが今一番の楽しみです。ただ、皆さん今は出来るだけ家に居ましょう。「STAYHOME」