新しいフレキソ版のご紹介

これまで何度かブログでもご紹介させて頂いておりましたレタープレス用フレキソ版。今回は改良を重ねて新たに生まれ変わった東レ様のフレキソ版「DF95T1」について印刷テストを通してご紹介したいと思います。
また、印刷ポイントについても情報を載せておりますので、最後までご覧になっていただけたら幸いです。

従来のフレキソ版「QH95T」


以前のブログでも紹介させて頂いております当社が初めて取扱いをした「シール印刷機で使用できるフレキソ版」で、東洋紡様のフレキソ版です。
この版が登場したおかげで、今まで印刷が難しかった和紙や上質紙にムラなくインクを乗せる事が容易になりました。
ただ、版が柔らかく摩耗しやすい為、フレキソではない樹脂版と比べると耐刷性が低く、クレープ紙に印刷をして10,000ショットもたなかったという例も・・・。しかし表面の凹凸が激しい基材に対しての凸面の追従性はこれに勝る版は未だありません。

新しいフレキソ版「DF95T1」


当社で新たに常備しているフレキソ版「DF95T1」。書き出しでお伝えした東レ様のフレキソ版です。
従来のフレキソ版とは違いフロア(画像部を支持しているベース部分)が無く、ベース厚が0.13mmと薄いのが特徴的です。「QH95T」に比べて基材の凹凸への追従性は劣ってしまうものの、耐刷性が良く上質紙への印刷では50万ショット以上もったという実績もあります。
また最小のアミ点は2%まで版に再現する事ができ、通常のCTP版に近い感覚で製版が可能となりました。凹凸の少ない上質や和紙への印刷には是非オススメしたいフレキソ版です。

DF95T1で上質紙へ印刷テスト

実際に新しいフレキソ版「DF95T1」を使用し、上質紙を使って間欠機で印刷をしていただきました。
印刷するラベルデザインは弊社の版下担当が今回のテスト用に作成した物です!!
下地のクリームベタに茶を乗せた特色2色となります。

印刷結果

実際に仕上がったラベルがこちらです!クリームベタが少々分かりづらいですが、インクがムラなく乗ってクラフト紙の様な風合いを出す事ができました。

ラベルの拡大。
茶はベタ部分がしっかり濃い色が出て、アミ部分のカスれもなくデザインをそのまま再現できました。
画面ではなかなか分かりづらいと思いますので、こちらのラベルは当社から発送させていただく製品に同梱させていただきます。
是非、実物を手に取ってご覧ください!!サンプルの追加もお気軽にお申し付け下さい。

DF95T1で大礼和紙・和紙クレープへ印刷テスト

続いては大礼和紙と和紙クレープへの印刷です。こちらは「QH95T」との印刷比較にてご紹介させて頂きます。
使用したデータはこちら。オレンジのベタにスミ文字を乗せた特色2色となります。

印刷結果1.大礼和紙

DF95T1
QH95T

どちらの版でもベタ・スミ文字がとてもキレイに乗っておりますが、QH95Tの方が文字が太り気味になってしまっていることが分かります。

ラベル拡大

DF95T1
QH95T

印刷結果2.和紙クレープ

DF95T1
QH95T

こちらもDF95T1の方が細かい文字等をシャープに再現できておりますが、ベタ部分のインクの乗りやすさはQH95Tの方が勝るようでした。

ラベル拡大

DF95T1
QH95T

比較結果

両版の印刷比較の結果としまして、
・DF95T1はシャープな文字の再現や上質紙、凹凸の少ない和紙への印刷に向いている
・QH95Tは凹凸の多い基材へインクをしっかり乗せるのに向いている
ということが分かりました。また、今回印刷テストを実施いただいた株式会社九州クラフト工業様からは以下のような評価をいただきました。

両版の項目別比較

東レ(DF95T1) 東洋紡(QH95T)
厚さ 0.95mm 0.95mm
硬さ 硬い 軟らかい
ベタ
文字 シャープ 太った
ベースの厚み 薄い 厚い※

※厚みがあるので、汚れが出やすい

【感想】
東レは細⽂字がシャープに出るが、ベタはやや劣る
東洋紡はベタは良いが、細⽂字が太る
双⽅ともインクのテカリが気になった全般的に良い仕上がりだった


上記評価は、両フレキソ版を比較してのものとなります。硬さ等についても両版で比べると硬い/柔らかいという表現をしておりますが、一般的なCTP樹脂凸版と比較するとどちらもかなり柔らかくなります。
具体的な硬度につきましてはこちらをご覧ください

フレキソ版でキレイに印刷する為には

ここまで新しいフレキソ版についてご紹介してきましたが、実際にフレキソ版をご使用していただく際の注意点とキレイに印刷するポイントをいくつかご紹介します。フレキソ版で最も重要なポイントは印圧で、理想はキスタッチにするという事を念頭においてご確認いただければと思います。

版の作成時の工夫

まずは版で印圧を軽減する工夫について、弊社ではおなじみのカスタムトンボスクリプトを使って自動でマクラが付くトンボを使用します。マクラが付く事によって印圧の軽減はもちろん、版胴に貼る際に水平が分かりやすくもなります。テスト印刷で使った版もカスタムトンボスクリプトで作成したお客様専用トンボとなります。

更にキスタッチの印刷をやりやすくする為に、刃型線を1.5mm程オフセットした位置に囲みを付けると版が基材に触れる際の衝撃を押さえてより印圧のコントロールがしやすくなります。この囲みは刃型の抜きズレが分かりやすくもなります。

キレイに印刷するポイント

以前ご紹介させて頂いた内容ですが、フレキソ版は印刷時に使用する圧胴の硬さによってインクの乗りが違います。
鉄の圧胴はゴムよりインクが乗りやすくなります。ただゴムの圧胴の方が版への負担が少なく耐刷性は良くなります。インクをしっかり乗せたい凹凸の激しい基材は鉄の圧胴を使用し、そうでない基材はゴムの圧胴を使用するとキレイに印刷ができて且つ版が長持ちします。

また今回の印刷テストで版胴の大きさ(径)によって細かいデザインの再現性が変わる事が分かりました。
版胴の大きさは印刷機によって決まっている為、変える事はできませんので1つのポイントとしてご紹介します。
今回の上質紙へ印刷テストで版胴φ135mmとφ70mmを印刷して頂いた結果がこちらです。

版胴の径が小さい方が細かい文字の潰れが少ないことが分かります。径が小さいと版と基材の接地面がより線に近くなった事によりこの様な結果が出たと推測できます。フレキソ版は柔らかく版胴に巻き付けやすいのも特徴なので、版胴の径が小さい印刷機でも貼り付ける事が容易にできます。

基材に合わせた版の使い分けを

フレキソ版について如何でしたでしょうか。色々と奥深くて何だか難しそう・・・と感じてしまったかもしれません。
デザインや材料によっては、CTP樹脂版が向いているのか、フレキソ版が向いているのか判断がし辛いという場合もあるかもしれませんので、そういったお悩みは、是非一度当社へご相談ください!ご要望に応じたキレイに印刷できる版をご提案させていただきます。

印刷協力
上質への印刷・・・有限会社啓佑社様
大礼和紙・和紙クレープへの印刷・・・株式会社九州クラフト工業様
http://www.can.co.jp/craft/