切れ味だけではない!?ミラー刃とムラについて

ふだんゼンマイ刃やビク型で抜き加工を行うお客様は、ミラー刃についてご存じでしょうか?
よく刃型屋さんのHPには、刃先が鏡面加工された鋭い切れ味の刃と書かれていますが、
実は特性はそれだけではなく、刃先の高さムラを極限まで抑えた刃材でもあります。
今回はそんなナカヤマ様のミラー刃についてと、抜きムラが発生する原因についてを書かせていただきます。

ミラー刃とは?

ミラー刃(MIR刃)とは刃先が鏡面仕上げになるまで、細かい砥石で研磨された刃材です。

特性①鋭い切れ味
鋭い刃先により、抜き圧の軽減が図れ美しい切断面を実現できます。
そのため紙粉の発生しやすい板紙、PET・PPなどの樹脂関連、高機能フィルムなどの加工に適しています。

特性②刃高精度
鏡面仕上げにより、刃先の微小な高さムラを極限まで抑えています。
当社でもゼンマイ刃作成後にプレス機で試し抜きを行いますが、標準の刃材に比べて抜きムラが少ないことを実感しています。
特に多面付けの刃型等でミラー刃を使うと、抜き加工時のムラ取り時間を短縮できるかもしれません。

当社で取り扱いのあるCSコート、シルキーコート、DLCコーティング等のコーティング刃もミラー刃にコーティングをしているため、それぞれのコーティングの特性にプラスして鋭い切れ味と刃高精度も兼ね備えています。

そもそもなぜムラ取りが必要なのか

ミラー刃を使うことで刃型のムラは極限まで少なくなりますが、
そもそも抜き型を使用する前のムラ取り作業はなぜ必要なのでしょうか。

そこには3つの要因があります。
①刃型のムラ、②製品形状のムラ、③打抜機の抜圧ムラ

まず①刃型のムラについてですが、
刃材を曲げると、下図のように捻れが発生します。
いかに丁寧に曲げ加工を行ったとしても曲げた部分の刃高は下がります。
特に0.5Rなど小さいRの場合はより顕著に刃高が下がる傾向にあります。
またベース材の反りや高さムラ、レーザーカットによる溝幅と溝の垂直具合によっても刃型のムラは発生します。

②製品形状のムラ
切刃が密集していたり、多面付けだったりすると、いかに刃型の刃高精度が出ていたとしてもムラ取り作業が必要となることがあります。

③打抜機の抜圧ムラ
機械の経年劣化による抜圧ムラも影響します。
ビク型(トムソン型)業界では、ムラ取り作業の80%が打抜機の抜圧バランスの悪さが原因であるとも言われています。

ミラー刃開発ストーリー

ミラー刃の最大の特徴は「鋭い切れ味」と「刃高精度」にありますが、
製造販売をしている株式会社ナカヤマ様にお話しを伺ったところ、
元々は刃型屋さんから「曲げても刃先が割れないトムソン刃が欲しい」というリクエストに応える為に開発された製品だったそうです。
刃先が割れないように砥石目の溝を極限まで浅く細く研磨した結果、折り曲げにも強く、切れ味も良く、高さムラも抑えられた刃が生まれました。

今回はミラー刃の特性と抜きムラの原因について紹介させていただきました。
当社も株式会社ナカヤマ様のようにシール印刷会社様、更にその先のお客様にもメリットを感じてもらえるものづくり、サービスを行っていきたいと思います。

トムソン(ビク)用打抜刃の製造販売及び関連副資材の販売をしている株式会社ナカヤマ様のご紹介です。

株式会社ナカヤマ様
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