シール印刷 製版のトラッピング処理!?

凸版を用いたシール印刷では材料の伸縮、版の設置位置のズレ、機械の精度など様々な要因がかけ合わさって微小な見当ズレは発生してしまいます。

その見当ズレを極力目立たなくするためには、製版時にトラッピング処理を行う必要があります。
今回はそのトラッピング処理について、弊社ではどのように調整をしているのかをご紹介いたします。

製版のトラッピング処理とは?

製版の「トラッピング処理」とは2 色以上で印刷した際に、印刷の見当ズレが極力目立たないようにデータを微調整する作業のことを言います。

基本的には隣り合った2色のうち、薄い色を濃い色に0.07mmほど重なるように太らせて濃い色に食い込ませ、版ズレした際に異なる色版同士の境界に隙間がでないように処理をします。

また髪の毛 1 本分 (0.05mm~0.15mm) も隙間ができないよう、精密に見当合わせをすることから上図のような調整を「毛抜き合わせ」と呼ばれることもあります。

トラッピング幅の選定について

弊社では不透明インキ(墨や金)や箔押しに対しては重なる色の幅が広くても印刷結果に影響が出にくいため 0.1mm、 逆に重なりが目立つ色の場合は 0.07mm と使い分けをしています。

また実際にトラッピング処理を行う際は、色だけではなくデザインも考慮する必要があり、デザインによっては濃い色を太らせて調整をしたほうが印刷のズレが目立ちにくい場合もあります。

例えば下図のような禁止マークの場合は、墨を 0.05mm 太らせて赤色に食い込ませることがあります。

ノセについて

2色以上で印刷した際に、背面にあるデザインに対して印刷を重ねるように処理することを 「ノセ」または「オーバープリント」と呼びます。

背面の印刷に対して影響がほとんどない墨や金などの不透明インキ、また箔押しをする際にもよく使われる手法です。

背面の印刷が乾かないうちに連続して印刷をする平圧印刷機の場合は、色が混ざることを考慮して「ノセ」が好まれないこともあります。

その他のトラッピング処理

今回ご紹介した事例以外ですと、白印刷をする、2 度刷りをする、リッチブラックを使用する、 エンボス加工のため雄版と雌版を作る際にもトラッピング処理は必要となります。
2 度刷りに関してはこちらの記事で
リッチブラックに関してはこちらの記事で

弊社に製版のご注文をいただいた際には、お客様からトラッピングの幅をご指定いただくことも可能ですが、特にご指定が無い場合は弊社の方で印刷機種、デザイン、色、刷り順を考慮してトラッピング処理を行っています。

製版のお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

お客様のより良い印刷ライフの一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

木原 優/Yu Kihara
フナミズ刃型製版の営業担当
本ブログは「シール印刷にまつわるお役立ち記事」をテーマに運営